ハルちゃんとナルちゃんのおいたち


検査入院

第一に代謝異常を疑われ血液検査をしていただきました。結果が出るのに少し時間がかかるというので1ヶ月後にもう一度再受診と言うことになりました。

検査の結果を聞くためにと軽い気持ちで出かけたのですが、これが甘かった。肝臓の数値が高く発達の遅れなどから推察して代謝異常が考えられるのでもう一度血液検査をしました。結果その場で即入院を言い渡されました。小児肝炎も疑われました。

ここからが検査漬けの始まりです。仕方がないこととはいえ小さい身体で頑張っている我が子を見ているとかわいそうで仕方ありません。点滴しながらの採血、これがいたたましく3時間ほど泣きっぱなしでした。腹部エコーの為の絶食、それでなくてもミルクを飲まない子だったのにこれを境にしばらくいっさい口から飲むことを受け付けなくなりました。そして鼻注を入れた生活がしばらく続きます。

ママの気持ち8/5

3ヶ月健診で検査要と言われ紹介状をもって病院へ行きました。私はこんな大きな病院にかかったことがないし どうも要領がわからないし 不安も手伝ってか職員の対応がとても事務的に感じられました。おそらく心細い病人や その家族にとっては 病院の職員の対応はごく当たり前の普通の対応でさえ事務的なともすれば冷たいものに感じてしまうのではないかと 今から思えばそんな気がします。優しく丁寧にしてもらってやっと気持ちが落ち着くのでしょう。今も相変わらずこの病院にお世話になっていますが決して冷たい事務的な病院ではありませんので念のため。春菜や成美に関わって下さるみなさんは温かい方ばかりです。

長い待ち時間のあと年輩のいかにもお医者様と言った威厳のある先生が診察室には居られました。また先生とは対照的ににこやかに診察の介助をされる看護婦さんがおられその方の笑顔で私の緊張も少しは緩やかになりました。明るいピンクの口紅が印象に残っています。

診察は検査の結果待ちなどもあって一度では済まず数回足を運んだ後に「肝炎及び代謝異常の疑い」で検査入院となりました。 不安を抱きながらもこの頃の春菜には笑顔が出てきたり追視が出来るようになり「食べ初め」のお祝いも済ませそれなりに嬉しいこともあったので「春菜との生活は忙しくてもいいから心から楽しい日々を送りたい!」と強く思っていた矢先の入院となってしまいました。どこかで入院なんてあるはずがないと決めつけていたので 準備もまったくしていなくて慌てました。「入院になるかもしれない」と先生からは言われていたにもかかわらず...nobさんが上記で 「結果その場で即入院を言い渡されました。」と記していますが正確には5回目の診察及び検査で入院を言い渡されたのです。たぶん彼も まさか!と言う気持ちから突然の入院だったと錯覚しているのでしょう。

それにしても 春菜が受けた検査の中に「染色体」の検査がありますがこれは結果が出るまで1ヶ月かかります。 この間の私たち親の気持ちはなんともじれったくて 不安がますます勝手な想像でふくらんでいてもたってもいられない気持ちになっていきます。おそらく培養に時間がかかり仕方ないのかもしれませんが生後間もない赤ちゃんにとっての1ヶ月は成長が著しいので異常があった場合には何らかの手だてが即できるように、そしてまた親の精神的な負担が少しでも軽減できるように短時間で結果が出れば、と思いました。

入院は当然の事ながら私が付き添いました。検査は 採血、採尿、頭部ct、腹部エコー、眼科検診、耳鼻科健診、脳波、筋電図、肝生検、ルンバール、口腔外科、などだったと思います。検査と一言で言っても検査自体も手間がかかりますが実はその準備段階から大変厄介なのです。絶食したり、催眠処置をしたり、赤ちゃんにとってはとても大変。絶食の時は夜中に泣きながら「お腹が減ってるのになぜ飲ませてくれないの?いつもはくれるのに...」とでも訴えるように私を見つめる目...忘れられません。春菜にとって私だけが心のよりどころなのにそれなのに春菜の願いをも聞いてあげる事ができなくて辛かったです。

長くてしんどくて時には春菜の痛みを思い涙が出ることも...「どうしてこんなに辛い思いをしなければいけないのか、何か悪いことでもしたというの?これからどうなるの?」そんな思いがグルグル頭を巡りました。主治医は「小さい赤ちゃんですから 赤ちゃんにとって疲労がかからないようにゆっくり検査をしていきましょう。ちょっと長くなってお母さんはしんどいかもしれませんが。」とおっしゃいました。その言葉を聞いて 「病気」が中心になってしまって「春菜自身」がないがしろにされていないかと言う不安が消え去りちょっと気持ちが楽になりました。そして一番私の心の支えになったのはnobさんがいつも穏やかに接していてくれたこと。毎日病院に通ってはさりげなく励ましてくれました。こんな我が家にとっての異常事態でも1つずつ解決していこうと言う姿勢が見えてなんだかこういう人で良かったと安心感みたいなものを感じました。

結局検査でわかったことは 胆石の形跡があること(実際石がエコーで見つかったが 退院前に消えた)、脳波にスパイクがあること、異常な反射(伸展傾向)があることでした。肝心の病気については不明でした。検査入院はここまでとし あとは外来で経過を見ること、そしてこのままでは発達が心配なので療育園で「訓練」をうけるように勧められました。

退院の前々日、看護婦長さんが病室を訪ねて下さいました。私の方から療育園のことについて聞いておきたい事があったのでいろいろと訊ねているうちに訓練の話になりました。看護婦長さんは「訓練とは親がくじけそうになるくらい心身共に大変なものです。」と言われました。「それだけ大変なものだから子どもに充分な栄養を与えなくてはいけない。」とか...なんだか手厳しいことを言われるのだなぁと最初はちょっとイヤな感じでした。

今の春菜の様子から見ると脳からの命令通りに体が動いていないらしく 今の時期の訓練が大切なこと、それから 子育てをしていく上で夫の理解と協力が大切で訓練の先生のお話を聞くときにはなるべく一緒に聞いてもらって子どもの事をよくわかってもらい母親だけで何もかも背負い込まないこと、体の弱い子をもったからと言って引きこもっていないで困ったときは誰にでも助けを求めることが出来る親子でないといけない...など...

そんなお話を聞いていくうちに私たち親子にとってとても大切なことを教えていただいているとわかり必死になって聞き入りました。そんな看護婦長さんも実は訓練の経験者なのでした。看護婦長さんのお子さんも春菜と同じようによく吐くので 吐くたびに床に水をまいてみて吐いた量を目測し、その分のミルクを飲ませ 栄養管理は徹底的に行い訓練に臨んだと言うお話、生後6ヶ月くらいで首がすわり始めたが1才頃でもまだ完全には座っていなかったとか、昼夜無くとにかくよく泣くので 夜中は抱っこひもで抱っこして立ったままで眠られたと言うお話...

それらを聞いて並大抵な努力では無かった事がよくわかりました。でも その努力の甲斐あってか かけっこではいつもビリでも最後まで走り通すことの大切さを学び、理解の不十分な先生には「誉めるところの無い子」などと誤解されながらも 成長の過程を丁寧に説明されたらその先生も「知らぬ事とは言え、ひどいことを言ってしまって申し訳ない」と詫びられた事もあり、といろんな思いをしながらも大きく成長されたようでした。

「今はとても優しい子どもに育ちました。要は愛情ですよ、頑張って下さい!」とお話を締めくくられました。これから私たちを待ち受けているものは何なのか、これから始める訓練とはどんなものなのか、不安でいっぱいではありましたが看護婦長さんのこの日のお話は 私にとって大きな励みとなりました。このお話を伺わなければいろんな意味での「受け入れ」に時間がかかったかもしれないと思うと忙しい時間を割いてお話下さった看護婦長さんに「感謝」、この時のこの出逢いに「感謝」です。

2004年07月13日 14:06更新