2001年11月19日(月) [長年日記]
§1 ハルちゃんと朝を迎えた
おみさんは久しぶりになるちゃんと二人だけの夜だった、不安だっただろう。
昨日の夜にかかってきた電話で、ナルちゃんのお腹の傷口から出ている液体を調べてもらっていると言ってきた。緑色をおびてきておりどうも怪しい感じだ、おみさんも変な感じだしすぐに出られるようにして置いてくれとのことだった。
しばらくして電話があったが特に問題ないと言うことだった。ドキッとしたりホッとしたり心休まる暇がない。
今日は昼間ハルちゃんを見てくれる人がいたので、病院まで行くことが出来た、ナルちゃんの様子はひいき目に見ても良い状態とは言えない、傷口からの液体はどんどん増えてきているし、ガーゼを超えて吸収シートを超えてシーツまで濡れる始末。色もどんどん緑色がかってきているので、どうも怪しい感じだ。時々痛そうに泣くのも気にかかる。
後ろ髪を引かれる思いで家に帰り、ハルちゃんと夕食を頂いた。湯食後ハルちゃんをパジャマに着替えさせ寝かせようとしたが、泣き出してしまいすぐには寝てくれなかった。しばらく添い寝してやれば寝てくれるのだろう。
そんなところへおみさんから電話が入った。ナルちゃんのお腹の傷から出ている液体はどうやら消化管から漏れているらしいと言う電話である。説明をしたいのでお父さんに来てもらってくれとのこと。タイミングが悪すぎる。
仕方なくハルちゃんにはお薬で寝てもらうことにした。座薬だけして隣の義姉にお願いしてすぐに病院へ出向いた。
成美はCTの検査を受けて病室に戻っていた、病棟の詰め所に呼ばれて話を聞いたが、やはり消化管からの液漏れがあるようだとのこと。開けてみないとわからないが胃ろうが怪しいとのことだった。傷口が化膿しているのでそれに近い胃ろうの付け根が化膿してチューブの隙間から漏れているのではないかとの考えだった。どちらにしてもこのままでは腹膜炎が起こって長引くほど致命的なことは素人でもわかる。
3回目の同意書にサインした。
手術室に向かうナルちゃんはすごく不安そうだった。病室から手術室まで一緒に付いていってやった。手術室の入り口で別れなければならないが、不安そうな目でこちらを見ているナルちゃんが辛かった。
手術が始まったのは午後11時頃、しばらく無気力に病室で待った、おみさんもボクも言葉が出ない。
午前1時頃、手術が終わったというので面会室へ行って執刀医の話を聞いた。空腸に穴が空いていたとのことであった。なぜ穴が空いたかわからないとのこと。また、腹膜炎も起こしていて一部癒着が認められたので、はがしたとのこと、はがしたときに一部損傷した小腸も縫合した。後は全てをきれいに洗浄して縫合したらしい。
前回の術後の化膿で筋膜が緩んだような状態になっていたそうで、その部分もきっちり縫合した、表皮も弱っているので多い目に糸を掛け糸の通る部分には樹脂製の鳩目をして皮膚が裂けるのを防いでいる。また、糸が食い込まないように皮膚に触れる部分には樹脂製のチューブが通して縫合した。聞いているだけでも痛々しい。
それから30分ほど待ってICUの面会が許された。今回は前回よりなおゆっくりと醒ますようだ。今までの2回では術後の管理に問題があったことは、医師側も認めているだろう。ナルちゃんが泣くことや緊張が強いこと、力んで腹圧が上がることなどを考えて、術後はしばらく意識のレベルを押さえてでも、傷が癒えるまでの管理を徹底して欲しいと申し出たのがやっと聞き入れられたようなかたちだ。
この日はおみさんも一緒に一旦家に帰り寝ることにした。家に着いたのが午前3時、親には休む暇も与えてくれない。