トップ «前の日記(2000年12月09日(土)) 最新 次の日記(2000年12月11日(月))»
RSS feed

春ちゃん成ちゃんへの手紙
~ママの日々~


2000年12月10日(日) [長年日記]

_ [メディア] いのちの繋がり

今日のNHKの「課外授業 ようこそ先輩」は ホスピス医の森津純子さん。初めて私が森津さんを知ったのは テレビ番組のトークコーナーでした。ホスピスでの患者さんの命の不思議、奇跡、人の温かさをお話しされていて 自分の体験と重ね合わせてしまった私は テレビの前で涙をポロポロこぼしながら まだお嬢さんぽさが抜けきらない可愛いらしい森津さんのお話に聞き入っていました。そののち、森津さんの書かれたご本を読んで ますますこの方の魅力と人の命の尊さを深く感じました。

その森津さんが今日は小学5年生の子ども達の前で授業をされました。まずは聴診器などの医療器具を持ち出して それらが患者さんへ配慮された作りになっていると言うお話しから始まりました。そして次は余命を宣告されたら 自分は好きなことをして最後を迎えるか、それとも辛くてもあらゆる治療を受けて少しでも長く生きようとするか...そんな質問を子ども達に投げかけられました。とても難しいテーマだと感じましたが子ども達は「短くても好きなことをしたい。」また、少数派ではありましたが「ちょっとでも長く生きる方が良い。」など率直に意見を述べました。今度はそれが自分でなくて 家族だったら...。そうなると意見は先ほどとは逆転して多数は「大事な家族だから手術して長生きして欲しい。」、少数ですが「最後くらい好きなことをさせてあげたい。」と言う子も。森津さんご自身、お母さんが余命わずかだと宣告されてから 医者という立場、そして娘という立場の間で葛藤されました。悩みに悩まれた結果、お母さんの望まれる、「手術はせず好きなことをして最後を迎える。」と言う生き方を尊重され、お母さんは最期に「しあわせだった」と言って旅立たれたと言うことでした。また、逆のケースの方もあり、患者さんが家族から「大事な家族だから どうか長生きして欲しいから手術を受けて欲しい。」と懇願され、「手術を受け、たくさんの管に繋がれることは辛いけれど 自分は家族のみんなに生きて欲しいと言われて嬉しい。」と言いながら安らかに旅立たれていったとのお話しもされました。生き方は様々...。でもいかなる場合でも「人と人が関わることで生まれる『力』がある。」と言うことを森津さんは経験から得られたのでした。

この授業で森津さんは「人が思い合い、支え合う互いの存在が大事、いのちは一人で生きているのではなく 支え、支えられている「繋がり」のなかで生きている。誰もが必要があって生まれているんだよ、誰かに必要とされているんだよ、と言うことを子ども達に感じて欲しい。」そう言われました。

森津さんのメッセージを素直に受け止めた子ども達。「医者でなくても 患者さんを元気付けられると言うことがわかった。」「家族が病気になったとき 優しくしてあげたい。」そんな感想が聞かれました。

こうやって私が本で読んで感じたこと、画面で見て感じたことを文章にしてみなさんに伝えるのはとても難しくて ダラダラと書きつづってしまいました。少しでも、命の繋がりのこと、優しくて温かな森津さんの事がみなさんに伝わればいいなぁ...。  

_ [ブック] お薦めしたい本...

「いのちの奇跡を見つめて」・森津純子・大和出版(ISBN4-8047-6040-7)