2001年12月01日(土) [長年日記]
_ [成ちゃん] 思いつくままに..
付き添い交代で昨夜は家でひとりで過ごしました。ハルちゃんは寄宿舎でがんばってくれています。こんなにハルちゃんがたくましくて頼もしくなってくれてると言うことに感謝の気持でいっぱいです。それも 周りのみなさんのおかげ。親身になって下さるハルちゃんの担任と寄宿舎の先生方..。ハルちゃんが今のハルちゃんであるのはそんな先生方のおかげです。親だけがハルちゃんを育ててきたのではありません。みなさんに育てられ、ハルちゃんもそれに応えているのですね。愛情を持ってドンと受け止めてくださる先生方には感謝の気持ちでいっぱい、頭が下がる想いです。
付き添い交代は私が煮詰まってしまわないように、疲れが溜まってしまわないようにとNOBさんがまめに声をかけてくれています。今の様子では年内に帰れるかどうかと言った感じなので まだまだ先は長いです。病室では食事はパンばっかり食べています。でも幸い好きなので苦ではありませんが 冷たくて固くなったパンを食べるのは淋しい..。レンジやトースターなどもあるのですが 少しの間も病室を留守にするのは心許ないのです。
でも、時折夕方にはNOBさんが義姉の手作りの温かなお弁当を届けてくれます。なんで家庭の味って美味しいんでしょう。普段の食卓に並ぶようなお総菜がほんとうに美味しい。狭い病室でNOBさんと温かなご飯を頂くことがささやかな楽しみです。ナルちゃんにばれないように、こっそりと..。ごめんね、ナルちゃんはまだダメなのよ。食べられるようになったらおいしいモノいっぱい食べようね。
昨日の交代の帰り道はスーパーで「スパ王」とたこ焼きと アイスと チョコと パンを買って帰りました。急にたらこのスパ王が食べたくなって昼間から買って帰ろうと決めていたのでした。笑うでしょ。
付き添い交代で帰る道すがら 紅葉の季節もそろそろオシマイなんだと淋しくなりました。色とりどり鮮やかな葉っぱ達を楽しむ間もなく、冬がやって来ます。ちょっと損をした気持。でも、退院したらいろんな季節を感じるお出かけをしましょう!ナルちゃんのお腹はもうイレウスを起こす心配から解き放たれているはずだから 自由に気ままにお出かけできるはず。そもそもそのための手術だったのですから。だから今年の紅葉くらいおあずけでもいい。これからいっぱい楽しいことが待っているはず。今までの苦労や苦悩の分は取り返さなくっちゃ。いっぱい楽しいことするんだからね〜!
さて 気ままなひとりの時間はもうそろそろオシマイです。
また病院へ戻ります。今日は栗原さんの「すてきレシピ」の発売日ですからこれを買っていきましょう。ハルちゃんは週末なので今日の夕方に寄宿舎から帰ってきます。お父さんとゆっくり過ごしてね。
おばあちゃんが「このお花の色は元気が出るよ」と、くれました。
2001年12月02日(日) [長年日記]
_ [成ちゃん] 不安
お昼前からなぜか機嫌が悪くなったナルちゃん。なんだろう?またどこか痛むところがあるのだろうか?と気持がざわざわとしてきました。ふと気が付くと手足の先が冷たい..と言うことはまた高い熱が出ると言う前兆。なんでまた今頃から?せっかく熱も下がり初めて CRPも1以下になったのに、奈落の底に突き落とされるような気がしました。
予想通り熱はぐんぐん上がり 解熱剤も効かず、40度近くの熱が10時間近く続いたでしょうか..。こんな時に限って先生を呼びだしてもつかまらず 早速の指示ももらえない看護婦さん達はオロオロするばかり。解熱剤を使って様子を見るしかありませんでした。夕方に先生が来られましたがとりあえず血液検査をして今日は様子を見るとのこと。どうなるんだろう、なんの熱なんだろう、お腹の中で何かが起きていたらどうしよう?恐ろしい想いをもう何度もしてきたから 恐くて仕方ありません。
せっかく落ち着き始めていたのにまた1から出直しのような気がして気が遠くなりました。何時になったら家に帰れるんだろうか?帰っても順調に過ごせるんだろうか?もう頭の中は不安だらけで倒れそうです。
2001年12月03日(月) [長年日記]
_ [成ちゃん] 疲れた
朝方5時頃にようやくナルちゃんの熱は38°くらいに下がりました。熱の原因を探るために今日はCTやらエコーやらレントゲンやら採血(これはほぼ毎日)やら...。CTとエコーはストレッチャーに乗せて検査室へ移動するのですが ナルちゃんは怖がって泣きます。また何をするんだろう、痛いことをするのだろうかと不安というか恐怖でいっぱいなんだと思います。いつも横について声をかけてあげるんだけど、入院以来ナルちゃんにとって信用できるものは何もないのではないかと思ってしまいます。たとえ母親であろうと ナルちゃんの痛みや苦しみを取り除いてあげることは出来ずに 「大丈夫よ」とか「痛くないよ」とか 気休めの言葉ばかりをかけられてきたのですから。もうそんな言葉は信用ならない!って感じなんでしょうね。悲しいです。
ナルちゃんの今のストレスや恐怖を取り除いてあげるには家に帰るしかないのでしょう。病院にいる限り、ストレスにさらされっぱなし...。なんとか気持を和ませてあげたい。せめて抱っこできればいいのですが ドレーンやら点滴やら7本ほどに繋がれていますからそれもままなりません。私もだんだんイライラがつのってきました。睡眠不足もあるし...。
幸い今日は熱は昨日のようには上がらずホッと胸をなで下ろしていますが 今日のCRPはなんと二桁に跳ね上がり、腸壁の一部が腫れていると言うこともわかり ますます私のテンションはますます下降...。明日は付き添いを交代してもらおう。でもナルちゃんは交代することも出来ずにずっと病院のベッドの上なんだよね、私だけ交代して悪いような気持。ごめんね。でも元気出すために休ませもらうね。
2001年12月04日(火) [長年日記]
_ [成ちゃん] もう熱、でないでよ〜
今日のナルちゃんの熱は37°後半。このままもう上がらなければ..もっと下がっていってくれれば...。お腹の動きは順調らしく、注入も治まっているし オナラもウンチも出ています。でも時々むずがるのが気にかかります。腸壁が腫れているのが関係あるのでしょうか..?今日のCRPは7、白血球も昨日よりは下がっていてデータ的には良いようです。熱はいったい何なのか、お腹の中で菌が燻っていて、時に火を噴くのでしょうか。先生方も頭をひねり、祈るような気持でナルちゃんを見つめておられます。
夜、NOBさんと交代で9時過ぎに病院を出て家へ向かいました。この時間は道も空いていてスイスイ。でも無性に淋しい気持がしました。
2001年12月05日(水) [長年日記]
_ [成ちゃん] このまま良くなれ!
昨夜は付き添いを交代してもらってゆっくり休めました。でもなぜか今朝はお布団の中でお腹が痛い...と目が覚めました。なんでだろう・昨日食べた冷蔵庫の中に残っていた「ちーちく」が悪かったのかな?痛いよ〜。今日家でしたいと思っていたことは何も出来ませんでした。ひたすらお布団にくるまって寝ていました...。
でもこういうのってものすごく久しぶり。午前中はずっとゴロゴロ、ウトウトしていたのです。なんかこういうことでもないと こんなふうにゴロゴロすごせないよな、って。ま、お腹の痛いのも治まったことだし、これもまた良いか。NOBさんからのメールでCRPは2と知り、ほっ。。。この調子でどんどんよくなれ〜〜〜。ハルちゃんもがんばってくれてます。ありがとね、楽しく過ごしてね。さてそろそろ病院へ戻ります。曇ってきたなぁ..。
2001年12月06日(木) [長年日記]
_ [成ちゃん] お正月までには帰るんだ!
昨日の夜は病院泊まり。今日のナルちゃん、熱は相変わらず37°台の後半。CRPはうれしいことに0.9,白血球も9000ちょっとになりました。でも熱がじわ〜っと居座っているのにはやはり何か原因があるはず。腸の腫れが原因なのか、カンジダ菌が少し出ているそうなのですがそのせいなのか..はたまた全く別の原因があるのかどうか...。傷口もほとんどふさがっているものの、気がかりなところもあるし...。ほんとうにスッキリ出来るのは何時のことなのか?先生は「お正月までには難しい」みたいなことを言われた。ほんとなのぉ〜?
入院費だって大変な金額になるし、付き添いの私たちの疲労や、ハルちゃんのこと..いろんな意味で気がかりはいっぱいあります。なんとかしてよ..。夜にまたNOBさんと交代してもらい家へ帰りました。夜、病院から一歩外へ出てふと大きな病院の建物を見上げると ナルちゃんとNOBさんを病室に残して帰ることに後ろ髪をひかれる思いが...。ホント、ナルちゃんを連れて帰りたいです。ひとりで帰るのって淋しいなぁ。帰ってもボーっとしてネットをウロウロ。こんな遅い時間にぼりぼりお菓子を食べてお茶を飲んで..。でもー、がんばらなくっちゃ、もう少し。
私にはまだまだ元気は残っているし、ナルちゃんだって精一杯がんばっているし、ハルちゃんだって健気にがんばってくれています。なんてったって一番ナルちゃんの事をよくわかってナルちゃんのために頑張れるのは私たち親なんだから、絶対に守りきってあげないと。まだまだガンバル、頑張れる。たくさんの応援だってついてるさ〜。ありがとうの気持を忘れずに、もうちょっとがんばろうと思います。
急に風が強まってきたみたい..。ひとりの夜は心細いね..。
2001年12月07日(金) [長年日記]
_ [成ちゃん] いいお天気です
昨夜は我が家でグッスリ眠れました。だいたい私は眠れないと言うことはなくて 眠れる環境さえあればいつでもどこでも眠れるようです。..昔はそうではなくて枕が変わるとたちまち眠れないとても神経質なタイプだったのですが。今では座っていようが、立っていようが..これは言い過ぎか、でも運転中だけは気をつけないとね!
NOBさんが知らせてくれた今朝のナルちゃんの様子は熱は37.2°、3本目のドレーンが細いモノと交換され、採血を済ませ、落ち着いているようです。今日からブドウ糖に変わって高カロリーミルクを薄めて胃ろうから注入する予定です。これがうまく治まれば栄養もだんだん充実して体力ももっと付いてくるでしょう。そうなれば回復も早まるはず。何もかもがうまく行ってくれますように..。
今日、これから私は役場など、用事を済ませるためにウロウロします。そして4時までには病院のNOBさんと交代します。NOBさんはその後週末で寄宿舎から帰ってくるハルちゃんを迎えに行ってくれます。ハルちゃん、一週間お疲れさま...と言うより、実は家で過ごすよりうんと楽しんでいるのかもしれません。それだったら良いのですが。(ん〜、いいかな?)ま、とにかく週末はお家でゆっくしてね。
2001年12月14日(金) [長年日記]
_ [成ちゃん] 年の瀬ですね
ふぅ...。もう12月も半ばとなってしまいました。昨夜からまた付き添いを交代してもらっています。ナルちゃん..胃ろうからの注入も始まり、お腹の動きも良く、傷もだんだんときれいになってきて...。でも熱が下がりません。各ドレーンからの培養検査では菌が2種見つかっていますから 腹膜内に膿瘍が潜んでいるのかもしれません。徹底的にそれをやっつけておかないと恐い。先生も熱の原因を探ることに頭を悩ませておられる様子です。そんな時に看護婦さんの信じられないようなミス!怒りましたよ!もう!!幸い大事に至らずに済みましたが しかしこれで済ませてもいいものかと思うほどの重大なミスです。今後の対策をしっかり考えてもらって早速その様に対処してもらいました。でも今は一刻も早くナルちゃんの熱が下がって退院に近づくこと、これは一番大事なのです。よけいな心配事はこれっきりにしてくださいよ!
ナルちゃん、今日はMRIの検査です。これでひょっとすれば腹膜内に潜んでいる膿瘍がハッキリ分かるかもしれません。何も出て欲しくないのですが でも正直な所、何かが分かった方がそれさえやっつけることによって熱を下げることにつながるかもしれない..あくまでもそれは小さな問題で簡単に解決できるものであるように...そう祈るしか有りません。
もうそろそろイヤなことをしなくて済むように..そう祈らざるはいられません。昨日だって、IVHのルートを入れ替えするのにザッと1時間半。痛い思いがずっと続くのですよ。時間がかかると思ったならその時点で睡眠処置も出来たでしょうに。確かな処置も大事だけど 患者が疲労しないように気遣いもして欲しいです。入院が長くなると 病院と言えども 気が付くようで気が付かない部分がとても多いと言うことをしみじみと感じています。細かい部分も含めて..。外部の者が見て気が付く事って多いでしょう、退院してから是非、「ご意見箱」を設置してもらえるように提案してみようと持っています。
冬休みなればハルちゃんが寄宿舎の生活をおえて帰ってきます。そしたらどうしよう..。それまでに退院できれば良いのですが 劇的な、奇跡的な回復でもしない限りは、無理でしょう..。
ハルちゃん、頑張ってくれているのね、ありがとう。寒くなったから風邪ひきませんように。もうちょっとみんなと仲良く、先生と楽しく過ごしてね〜。
クリスマスか..。カレンダーももうあと一枚。忙しい時期だけど ワクワク楽しい忙しさなのよね、この時期は..。クリスマスもお正月もこうなったら どうでも良いけど とにかく早く帰りたいなぁ。
みんなにたくさん心配かけて、温かいメッセージをたくさん頂いて..。お手伝いもたくさんして頂いて..。どうやってお返ししたら良いのかな..?やっぱり今は早く元気になって帰ることが一番ね。
母がベランダに植えておいてくれたヒラヒラ、レースのような花びらが可憐なビオラ。色もシックな紫だし。「花だより」に載せたいネタはたくさんあるのです。クリスマスローズ、咲くかな、咲くよねきっと。
さぁて、また病院へ行きます。寒いのでイヤだなぁ..。みなさんもどうぞ、風邪などひかれませんように。慌ただしい季節ですが バタバタしてケガなどしないでください(私信かも..)。
それでは。
2001年12月22日(土) [長年日記]
_ [成ちゃん] もういじめんといて
昼間のCT検査の結果、お腹の皮膚のすぐ下になにか、液体のようなものが溜まっているとのこと、この液体が膿瘍だとすれば それが今出ている高い熱の原因かもしれない。そうであれば すぐにでもそれを取り除いて熱を下げてあげなければいけません。と言うことで 夜8時半から病室内で腹空内穿刺術を施されることに。承諾書にサインをしながら、こんな時にはNOBさんにいて欲しいのだけど..と少々心細い思いが..。でも今夜はハルちゃんが寄宿舎から帰ってきているから NOBさんも簡単には出かけられない状態なのです。私ひとりで先生の説明をしっかり聞いてぬかりない処置をしてもらえるようにしなければ..と 親としての重い責任を感じました。
施術中は テレビはあるけどつかない夜の面会室で ひとり心細く終わるのを待ちました。私が病室を出るときは たくさんの先生や看護婦さんで狭い部屋は満杯状態。おまけに重々しいエコー検査の機械まで運び込まれて..。その真ん中には小さなナルちゃんが横たわるベッド。どんなに心細いことでしょう。たくさんの手や目や体に囲まれて...。今まで何度同じ様な恐くて痛い思いをしてきたことでしょう。そんな恐い思いが多すぎて、大きすぎて、楽しいはずの歌や絵本までも今のナルちゃんにとっては恐い対象のようです。予想以上に心の痛手は大きいようです...。
施術では15ccほどの、そう悪くもなさそうな液体が採れたとのことでした。まだ出てくるかもしれないので またもやドレーンが...。液体は培養に出され、あとは熱が下がるように祈るだけ。
ナルちゃんは疲れた様子。睡眠処置をしたと言っても意識はわりとあったようです。この検査で何かが分かって 何かが変わらなければどうしよう。どうやって気持を保っていこうか..。
誰に言えばいいのかわからないのだけれど...。もういいでしょう。「これ以上ナルちゃんをいじめんといて!」
2001年12月23日(日) [長年日記]
_ [成ちゃん] 『まけるななるちゃん!』
2学期が終わり、昨日、NOBさんがハルちゃんとナルちゃんの通知票やプリント類を病室へ届けてくれました。その中にナルちゃんのお友達からの手作りのクリスマスカードが入っていました。クリスマスツリーのイラストや女の子が二人テーブルをはさんで向かい合ってケーキでも食べてるのかな?そんなイラスト、そしてメッセージ。力強い文字で「まけるななるちゃん!」と...。心を込めて書いてくれたのがとてもよく伝わってきてじ〜んとなりました。そうね、まけるもんか、まけないよ、がんばるからね!って、そんな気持が沸いてきましたよ。
ナルちゃんのクラス通信には最近のお友達の近況が書かれていました。そして 朝のご挨拶の時にはお休みしているナルちゃんの名前もちゃんとみんなで呼んでいてくれてるんだって、そんなことも書かれていました。うれしいなぁ、忘れずにいてくれてるんだねぇ。あぁ、うれしい、ほんとうにありがとう!
よくお邪魔しては心をホッコリ、その方の温かさをたくさん感じさせていただく私にとっての癒し系のホームページが2つあります。今じゃ、どちらもたまにしか覗けなくなってしまっているのだけれど、久しぶりに見せて頂いたら 我が家へのメッセージがさりげなく綴られていたのでした。そのお二方ともが一度ばかりか2度までもさりげなく綴ってくださっているのです。たくさんの想いや祈りを受け取っているんだ..。
メールや書込やお手紙、カード、小包...。たくさんの想いが祈りがいっぱいです。一つづつ大事に大事に受け取っています。ナルちゃんの周りにはそんな温かい想いがいっぱい集まっているんだとおもいます。目には見えないけれど、みなさんからの想いがナルちゃんの周りにいっぱい集まって 強い強いパワーとなってナルちゃんに降り注いでいるのだと思います。
ほんとうにありがとう。みなさんからの想いをしっかり受け取るためには「ありがとう」の気持をしっかりお返ししようと思っています。少しづつ、大事に心をこめて..。
...なかなか植えられずに気になっていたチューリップの球根、母が植えてくれていました。パンジーも少しづつ数が増えていた。(^^)ささやかな春の楽しみを用意してくれた母。心配ばかりかけているのに、素っ気ない私でごめんなさい。今日は少し遅れたけれどお誕生日のプレゼントを渡すからね。
さて、これからハルちゃんを起こして遅めの朝ご飯を食べさせます。ちょっとメソメソしがちなんですが ゆったりと受け止めてあげよう。午後はまた病院です。少しでもナルちゃん、良くなっていればいいのになぁ..。
2001年12月25日(火) [長年日記]
_ [成ちゃん] 今年のクリスマス
「クリスマスには退院する!」 そんな誓いを心に決めていたのですが それも叶わず今年のクリスマスは病室の中で過ごすこととなりました。19日は病棟のクリスマス会があり、入院中の子ども達は会議室に集まりささやかなクリスマスパーティを楽しんだようでした。ナルちゃんは残念ながらたくさんのチューブに繋がれているし、感染症でもあるのでとても参加できるような状態ではありませんでした。
でも、サンタさんが病室に来てプレゼントを渡してくれると聞いて、楽しみにしていたのですが...。クリスマスプレゼントを渡しに来てくれたのは看護婦さん...。先生扮するサンタさんがナルちゃんの病室に来てくれたときには なんとナルちゃんは処置中だったのです...。あぁ、残念でした..。だれかなんとか気を利かせてくれれば良かったのになぁ..。でも頂いたプレゼントはナルちゃんの好きなノンタンの絵本とミッキーちゃんの絵本でした。後で聞いたのですが わざわざ「ナルちゃんが好きなノンタンの本」を 看護婦さんが選んでくださったのだそうです。うれしかったです、それを聞いて...。
そして今日。。。家でクリスマスを過ごせなかったけれど、せめて雰囲気だけでも..とナルちゃんのベッドの周りにはブーツやリースやカードなどの可愛いクリスマスグッズでいっぱいになりました。送って下さった方..ありがとうございました。
でもー、夜にはなんとサンタさんがナルちゃんの病室にもやって来たのです!「メリークリスマス!」って。アメリカの40才くらいのサンタさんでしょうか、もう、ホンモノ!ナルちゃんのお目目はまるまる!可愛い犬のぬいぐるみをおいていって下さいました。私は ナルちゃんのところにもちゃーんとクリスマスはやって来たね、とうれしくて涙ポロポロでした。それにはも一つ訳があって、そのサンタさんというのはアメリカの方で 前にその方のお子さんが入院された時にボランティアでどうしても子どもたちにプレゼントを渡したい..そんなことから始まって、ここ数年、毎年こうやってサンタさんに扮して病室の子どもひとりひとりにプレゼントを配って下さってるのだそうです。病院も子どもたちの為にこの計らいを認めているようです。
そんな想いがうれしくて、私はよけいにポロポロでした。思わず、アメリカ人のサンタさんに「ありがとう〜」と関西弁のイントネーションで握手を求めていました。
いつもにない、ちょっと心温まるクリスマスだったのです。
2001年12月28日(金) [長年日記]
_ [成ちゃん] それぞれに出来ることを
21日に腹空内穿刺術により腹水を抜いてから熱は37°台に落ち着き、高熱は出なくなりました。熱のために抜きたいのに抜けなかったドレーンが今日やっと一つ抜けました!最後には抜きべきドレーンは全部で6本、そのうちの1本がやっと抜けたのです。(胃ろうは出来れば残すつもりです。)これはもう、すごい進歩です。これから毎日ちょっとずつでも前進するはずです。もうこんなにうれしいことはありません。気持ははやりますが、決して焦らず慌てず、着実に歩んでいきたいと思います。油断は禁物ですからね。
今日の私のセーターは淡くて優しいピンクです。ナルちゃんの痛い想いや不安な想いを少しでも和らげることが出来るようにと、出来るだけ明るい色を身につけようと思っています。でも私の乏しいワードローブにはそう言う色は少ないのですよね..。
でもきっとこういう事って大事なんじゃないかな..?暗い色より明るい色。そして否定的な言葉より肯定的な言葉、暗い表情より明るい表情。介護する人や付き添う人のそんなちょっとした心がけで患者も気分が違うでしょう。気分が明るいと免疫機能だって絶対に良いはず。治療は医者が、そして私が出来る事ってきっとそういうことなんでしょうね。でもまた私のような立場の人を支える人も必要ですね。それは家族だったり、友だちだったり。そしてまたケースワーカーのような人なのかな。ここの病院はケースワーカーってあるのかどうかは知らないのですが結構重要なのかも..。
病気は本人のガンバリはもとより、周りのそれぞれが それぞれの役割を充分に果たすことによってより早く、より確実に回復へと向かうのだとしみじみ感じます。
2001年12月29日(土) [長年日記]
_ KANさんと中島さん
“心配ないからね 君の想いが 誰かに届く明日がきっとある
どんなに困難でくじけそうでも 信じることを決してやめないで .............. どんなに困難でくじけそうでも 信じることさ 必ず最後に愛は勝つ
...............
心配ないからね 君の勇気が 誰かに届く 明日はきっとある ...............”
ご存知KANの「愛は勝つ」...。この歌、最近立て続けに3回も私の耳に流れてきました。一時はものすごくあちこちで耳にしたのですが ここのところ、とんと聞かなくなっていたのに..です。この歌を久しぶりに聴いた時に この歌に続いて中島みゆきさんの「時代」も流れました。
“いまはこんなに悲しくて 涙も枯れ果てて もう二度と笑顔にはなれそうもないけど
そんな時代もあったねと いつか話せる日が来るわ あんな時代もあったねと きっと笑って話せるわ だから今日はくよくよしないで 今日の風に吹かれましょう
.......................”
付き添いを交代してハルちゃんと二人の夜、思わず涙が出ました。都合の良い解釈だけど これは私たちへのメッセージなんだわ〜って。そうね、そうね、ほんと、ほんと、って、心にしみいる歌でした。どうしてこんなにタイミング良くこの歌が流れたのだろう?誰がこの歌を私に届けてくれたのだろう?と不思議に思うほど、私にとってタイムリーな歌でした。こんな歌が世の中に流れたりはやったりすると言うことは こういう歌を求めている人がいるってこと、こんな心境になる人がいる、それもたくさんいるっていうことですよね。そうなんだ..。みんないろんな想いを抱えながら生きているんですね。
単純な私はまたちょっと信じて頑張ろうと、思うことが出来たのでした。きっと私と同じように歌によって元気をもらう事が出来た人って多いのでしょうね。私は今、ほんと、出来ることならKANさんと中島さんに「ありがとう」を伝えたいです。
2001年12月30日(日) [長年日記]
_ 朝比奈隆さん、すごいです!
朝比奈隆さんが亡くなられました。大フィルの指揮者で、世界最高齢の93才!私は90歳の時に指揮を振られたのを聞きに行きました。90才という高齢になっても現役で活躍できるというのは 日頃の努力の積み重ねと厳しい自己管理のなせる業なのでしょう。ひとことでそう言ってはみるものの、それはそれは大変なことなんでしょうね。演奏を聴いていてもその風格というか、力強さ、その存在感の大きさは空気を通して感じるものがありました。演奏が終わってもしばらくば拍手が鳴りやまなかったのは 誰もがそう感じていたからでしょう。93才で現役かぁ...。とすると、私なんぞはまだまだ赤ん坊と言ってもいいくらいの若僧です。まだまだこれから何だって出来ますね。日頃の努力と、自己管理と、気持の持ちようで。人生、長いじゃないですかー、がんばらねば。
ご冥福をお祈りいたします。
2001年12月31日(月) [長年日記]
_ ご挨拶
とうとうう病室で新年を迎えます。大部屋でわりと元気な子どもたちは退院したり、外泊したらしくて 病棟内はいつになく静かで寂しい感じがします。お正月っていうとやっぱり「あけましておめでとうございます。」のご挨拶となるのですが なんとなく気分的には「おめでたく」はないのですよねー。おめでたくないのに「おめでとう」は言いたくないや..。と思ってるのですが 明日の朝一、先生や看護婦さんに開口一番、なんて言おう..。などと、どうでもいいようなことをボンヤリ考えました。
でもね、やっぱりなんとかこうやって 新しい一年を迎えられることはありがたいことでもあるよなぁ..。日本は今のところ考えようによっては平和でいられるんだし。気持ちよくご挨拶することにしようか..。などと、大人げない私でデス。気持ちよく、新年のご挨拶をして心機一転、またがんばることにしましょ。
では 今年一年、みなさんに励まされなんとかがんばって来れました。ひとりじゃない、この無機質な画面だけれど、ここを通して温かい想いがいっぱい行き交っているのだといつも勇気づけられてきました。来年もたくさんの方々と温かいふれあいができればいいなぁと願っています。今年一年ありがとう、そしてまた来年もどうぞよろしくお願いします。
♪ 井上裕次 [家はにいるのはヒマです]